英中銀イングランド銀行は、インフレ率の上昇が短期的現象と見なす理由をより詳細に説明する必要がある――。英国の上院・経済問題委員会が16日公表した報告書で、こうした見解を明らかにした。2021年末まで量的緩和策を継続する方針についても疑問を示している。
上院の経済問題委員会には、マービン・キング元中銀総裁も名を連ね、金融政策に大きな影響力を持つ。
同委員会のマイケル・フォーサイス委員長は、「中銀は量的緩和中毒に陥っており、あらゆる経済問題を量的緩和で解決しようとしている」と批判。21年末までには、中銀は8,750億ポンドという巨額の国債と200億ポンドの社債を抱え込むことになるとし、これが効果を上げている証拠を示す必要があるとしている。また、インフレ上昇が短期的現象にとどまらなかった場合の対策も示すよう求めている。
報告書によると、中銀の量的緩和策に基づく金融資産購入は、財務省の国債発行と歩調を合わせており、中銀が量的緩和策を利用して、新型コロナウイルス危機下での政府の不足資金を補っているとの見方が広まっている。委員会は、これが続けば中銀は信頼を失い、インフレ抑制能力が損なわれると警告している。
15日に公表された英国の6月のインフレ率は2.5%と、5月から0.4ポイント加速し、中銀の目標値2%を2カ月連続で上回った。これを受け、金融政策の引き締め時期を巡る議論が活発化するとみられている。
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