国際送金サービスを手掛ける英スタートアップ企業ワイズ(旧トランスファーワイズ)は7日、ロンドン証券取引所(LSE)で直接上場により既存の株式のみを公開した。終値は8.8ポンドで、時価総額は87億5,000万ポンドに到達。市場予想を大きく上回り、テクノロジー企業の上場ではロンドン証取で過去最大となった。
初値は8ポンドで、株価はこの日だけで10%上昇した。直接上場は新規株式公開(IPO)と異なり、新株発行による資金調達を行わず、既存株式を市場で直接売却する。引受会社も不要なため手数料も大幅に回避できる。米国市場では直接上場を選ぶ企業が増えており、米大手仮想通貨取引所コインベースやオンラインゲーム・プラットフォームのロブロックス、スウェーデンの音楽配信大手スポティファイ・テクノロジーズもこれを利用して上場している。
ワイズは2011年に、ロンドン在住のエストニア人2人が創業。同社の国際送金は実際に資金を送金するのではなく、主要通貨の口座残高を各国に保有して送金取引を国内取引に組み替えている。これにより手数料を低額に抑えることで、従来の国際送金に比べて格段に安いサービスを提供している。同社は送金にとどまらない多通貨による金融サービスへと事業を広げており、世界で600万件を超える顧客を抱える。従業員は約2,200人で今年3月期の売上高は4億2,100万ポンド、税引き前利益は4,100万ポンドだった。
創業者のクリスト・カーマン最高経営責任者(CEO)とターベット・ヒンリクス会長は、それぞれ同社の株式を約19%、約11%保有する。上場により、カーマンCEOの保有株の価値は17億ポンド弱となった。
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