英国のスーパー大手モリソンは3日、米国の投資会社フォートレス・インベストメント・グループが率いる投資家グループへの身売りで合意したと発表した。提示額はおよそ63億ポンド。モリソンは先に、米クレイトン・デュビリア・アンド・ライス(CD&R)からの買収提案を拒絶したばかり。一方、米アポロ・グローバル・マネジメントもモリソン買収を検討しており、買収合戦に発展しそうだ。
モリソン買収で合意したのは、ソフトバンク・グループ傘下のフォートレスが率いるグループで、カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)と米複合企業(コングロマリット)コーク(Koch)・インダストリーズの一部門KREIが参加。モリソン株1株当たり254ペンスを提示した。32億ポンドの債務引き受けを除き、モリソンの企業価値を63億ポンドと評価した格好だ。
今回の合意には、本社をイングランド北部ブラッドフォード(Bradford)に残すことに加え、従業員の給与や年金を維持することなどが含まれる。しかし英国内では既に反発の声が上がっており、一部議員が政府に介入を求めているほか、モリソンの労働組合は経営陣との早急な協議を要求している。
一方、アポロは5日、モリソン買収に向けた対抗案を提示する可能性について検討していると明らかにした。ただ、検討は初期段階でモリソンの取締役会とも交渉などは行っておらず、実現する確証はないとしている。
なお、CD&Rは先に、モリソン株1株当たり230ペンスで55億ポンド規模の買収提案を行ったが、モリソンは自社とその将来性を「著しく過小評価」したものだと判断しこれを拒否した。[日本企業の動向]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。