日産自動車は、英イングランド北東部サンダーランドの既存拠点に電気自動車(EV)用バッテリーのギガファクトリーを建設する計画を、週内に正式に発表する見通しだ。欧州連合(EU)離脱後の英国に大規模な投資と新規雇用をもたらすとともに、英自動車産業の電動化への移行を加速させると期待されている。BBC電子版などが28日伝えた。
ギガファクトリー建設は、英国を日本国外で最大のEV生産拠点とする計画の一環で、英政府との支援を巡る交渉が進められている。テレグラフは、政府は5億ポンドを支援する見通しと報じている。
ギガファクトリーは2024年の操業開始を見込む。中国の遠景集団(エンビジョングループ)傘下で日産にバッテリーを供給するエンビジョンAESCが運営し、年間20万台のEVにバッテリーを供給する計画。エンビジョンAESCは既に、サンダーランド工場で主力EV「リーフ」向けのバッテリーを生産している。
自動車製造取引業者協会(SMMT)はかねて、英国のバッテリー製造能力の不足を指摘し、ギガファクトリーの必要性を訴えている。政府は35年までにEV以外の新車販売を段階的に禁止する方針だが、自動車業界は、バッテリー工場が国内に新設されなければ、自動車メーカーが製造拠点を国外に移転するため、雇用の喪失につながると警告している。
ベルギーの環境団体トランスポート&エンバイロメント(T&E)は先に、英国がEV生産拡大の波に乗り遅れる可能性を指摘。18年時点で欧州のEV生産における英国のシェアは5割を占めていたが、投資不足で30年にはわずか4%にまで縮小すると予想している。また、年間6~6.5ギガワット時とされる日産ギガファクトリーの生産能力は、既に投資が決定している各社の欧州17拠点の合計474ギガワット時に比べれば極めて少ないと指摘している。
英政府は現在、日産を含め6社とギガファクトリー建設に向けて協議を進めているが、確定しているのは、電池セルを手掛ける英新興企業ブリティッシュボルトのイングランド北部ブリスの工場のみ。同工場は23年末までの稼働開始が見込まれている。[環境ニュース][日本企業の動向]
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