先進7カ国(G7)は、11~13日に英イングランド南西部コーンウォールで開く首脳会議(サミット)で、開発途上国に新型コロナウイルスワクチン10億回分を寄付することで合意する見通しだ。これにより、来年末までに全世界でワクチン展開を完了することを目指す。先進諸国がワクチンを独占しているとの批判をかわすとともに、中国やロシアの「ワクチン外交」に対抗する狙いもある。
議長国である英国のジョンソン首相は11日、サミット開催に先立ち、「厳格だがぜひとも必要とされる目標を採択したい」とした上で、「来年末までに世界中のすべての人にワクチンを提供するため、ワクチン10億回分を開発途上国に供給する」目標での合意を目指すと話した。
同首相はこれに向け、英国の余剰ワクチン1億回分を寄付するとしている。うち500万回分を9月末まで、さらに2,500万回分を年内に提供する。また、米国のバイデン大統領も10日、米製薬大手ファイザー製ワクチン5億回分を買い上げて寄付すると約束した。うち2億回分は年内に、3億万回分は来年前半に提供する。同国は先に、6月末までにワクチン8,000万回分を世界各国に寄付すると発表していたが、これに追加での提供となる。
先進諸国の多くではワクチン接種が順調に進んでいるが、貧困国のワクチン展開の遅れを放置すれば局地的に感染が拡大し、ワクチンが効きにくい新たな変異株の出現を招く恐れがある。世界保健機関(WHO)は先進諸国の協力を得てワクチン調達の国際的枠組み「COVAXファシリティー」を進めているが、開発途上国への供給量は累計8,000万回分にとどまっている。慈善団体などは、G7が合意を目指す10億回分の寄付では少なすぎると批判している。
なお、今回のサミットではほかに、新たなウイルスのパンデミック(世界的大流行)に備え、監視センターのネットワークを構築することや、新ウイルスのワクチンおよび治療法の開発に要する期間を100日に短縮する取り組みでも合意を目指す。
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