2020年の世界のプラスチック生産量がおよそ3億6,700万トンとなり、前年比0.3%減少した。欧州に限ると、昨年の生産量は前年比5.1%減の5,500億トンだった。業界団体プラスチックヨーロッパがまとめた市場調査で、こうした初期の見通しを明らかにした。
それによると、これまでに世界のプラスチック生産量が前年割れとなったのは、石油ショックに見舞われた1973年と債務危機で苦戦した2008年の2回のみ。昨年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響がプラスチック業界に及んだとみられる。
地域別では、中国はプラスチックを増産。世界全体の生産量に占めるシェアを31%から32%に引き上げた。米国のシェアは19%と横ばい。欧州は1ポイント低下し、15%となった。
一方、需要面を見ると、欧州のプラスチック需要は昨年4,800万トンと前年から5%近く縮小。14年以降で最低を記録した。包装業界と自動車業界におけるプラスチック使用量が減ったことが大きい。
うち、包装業界では消費者向けは前年と同水準で推移したが、産業向けや商業向けが苦戦し、全体で需要が2.5%減った。自動車業界は、パンデミックに伴うロックダウン(都市封鎖)の影響で、数週間にわたり工場が稼働を停止。20年の生産台数は前年比23%落ち込んでおり、これに伴いプラスチック材の使用量も減少した。
欧州のプラスチック業界はおよそ160万人を雇用。中小企業を中心に5万5,000社以上が事業を営んでいる。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。