欧州中央銀行(ECB)は10日に政策理事会を開き、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を過去最低のゼロ%に据え置くことを決めた。中銀預入金利もマイナス0.5%で維持。新型コロナウイルス対策の各種規制の緩和に伴う経済回復を受けて、昨年3月に設けた「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」の資産購入ペースを緩めるとの市場予想もあったが、こちらも1兆8,500億ユーロの購入枠を維持する方針を示した。
ECBは金利について、インフレ率見通しが目標の2%に近いが下回る水準に収束し安定するまで、現行の利率かそれ以下に維持すると説明。PEPPについては、2022年3月末まで継続する方針をあらためて示した。今後の買い取りのペースは、年初の数カ月と比べ大きく加速するとしている。
ECBのラガルド総裁はこの日の記者会見で、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、規制がさらに緩和されることで、下半期(7~12月)の経済活動は加速するとの見通しを示した。一方で、短期的な経済見通しはパンデミック(世界的大流行)の状況や事業再開後の経済の反応に左右され、依然として不透明だとしている。
また、市中金利が上昇していることから、より広範な金融条件の時期尚早な引き締めにつながり、経済回復とインフレ見通しにリスクを及ぼすと指摘。こうした背景から、ECBは緩和的な金融政策の維持を決めたとしている。
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