英国の鉄鋼リバティ・スチール・グループは24日、イングランド北部サウスヨークシャー州のストックスブリッジ工場など英国内の一部資産を売却すると発表した。親会社GFGアライアンスを率いる富豪サンジーブ・グプタ氏と債権者である金融大手クレディ・スイスの間でまとまった債務再編計画の一環。
グプタ氏とクレディ・スイスは、リバティの英・オーストラリア事業の債務の再編と借り換えについて協議。その結果、リバティがストックスブリッジ工場とその関連2工場を売却することが決まった。また、リバティのオーストラリア事業についても、借り換えが完了するまでの弁済を猶予する方向で交渉がまとまりつつあるという。
GFGは、主な資金調達先だった英金融サービス企業グリーンシル・キャピタルが3月に破綻したことを受け、資金繰りに行き詰まっており、傘下企業の連鎖倒産が懸念されている。GFGはリバティの救済に向けて英政府に支援を要請したものの、拒否されていた。
リバティ・スチールは英国3位の鉄鋼メーカー。ストックスブリッジや同州ロザラムなど国内11拠点で3,000人の従業員を抱える。GFG全体では、国内で計5,000人を雇用するほか、フランスやオーストラリア、米国など世界30カ国で事業を展開し、計3万5,000人の従業員を擁する。
GFGアライアンスは経営不振に陥った世界各地の鉄鋼企業の買収を通じて急速に事業を拡大。その一方で、グリーンシルから多額の融資を受けていた。なお、クレディ・スイスはグリーンシルの債権者でもあり、同社の破綻により10億ポンド以上の損失を被っている。
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