欧州連合(EU)は20日、新型コロナウイルス対策として実施しているEU域外からの入域制限措置を緩和することで合意した。ワクチン接種が完了した人の不要不急の入域を認めるほか、入域許可国のリストを拡大する方針。ただ、特定の国からの入域を加盟各国が臨時に制限できる「緊急ブレーキ措置」も導入するとしている。
域外からの旅行者は、EU入域の少なくとも14日前までに、欧州医薬品庁(EMA)が承認したワクチンの最終接種を完了する必要がある。ワクチンを受けられない子供は、ワクチン接種を完了した成人が同伴し、EU入域前72時間以内に受けた感染検査の結果が陰性なら入域を認められる。
EMAがこれまでに承認しているワクチンは、米国の製薬大手ファイザー、同ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、米国のバイオ医薬品会社モデルナ、英国の製薬大手アストラゼネカの4社のもの。加えて、世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに含まれる中国医薬集団(シノファーム)のワクチンも対象となる可能性がある。
入域許可国の条件については、現在は過去2週間の人口10万人当たりの累計感染者数25人以下としているが、これを同75人以下に緩和する。現時点でEU入域が認められているのは、イスラエル、オーストラリア、ニュージーランド、ルワンダ、シンガポール、韓国、タイの7カ国のみだが、条件緩和によりこのリストが拡大される可能性がある。
ただ、この条件をクリアしても、ワクチン展開が遅い国や検査件数が少ない国、EUからの入国を認めていない国は、入域許可国リストから除外される場合があるほか、加盟各国が「緊急ブレーキ措置」を発動する可能性もある。英国は、現時点で入域許可条件を満たしているものの、インド型変異株の感染者が増えているため、一部加盟国が神経をとがらせている。
EUはこれらの緩和措置を推奨するにとどまり、入国を認めるかどうかの最終判断は加盟各国に任される。また、各国は入国者に対し、検査や自主隔離を独自に義務付けることもできる。[EU規制]
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