東芝は20日、英国の投資会社CVCキャピタル・パートナーズから、買収の検討を中断するとの通知を受けたと発表した。CVCは、非公開化が東芝の経営戦略に合致するかについて東芝から「ガイダンス」を得るまで検討を中断する方針を示したとしている。
東芝は4月上旬、CVCから買収および株式非公開化の初期提案を受け取ったと発表。ただ、永山治議長はこの初期提案について「当社の要請によるものではなく、当社の事業などに関する詳細な検討を経た上で行われているものでもない」とし、「今後、詳細情報を受領した場合には、慎重に検討する」とコメントしていた。
同社はこの日、CVCから前日に新たな書面を受領したものの、初期提案の検討に必要な詳細情報を示すものではなく、「非公開化が当社経営陣および取締役会の戦略的目的に合致するかについてのガイダンスを待つため暫時検討を中断する」との内容だったと明らかにした。
同社では先に、CVC日本法人の会長を務めた経歴を持つ車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が辞任。フィナンシャル・タイムズによると、これを受け、CVCによる買収計画がとん挫する可能性も指摘されていた。
車谷氏の辞任後、東芝の株価は上昇し、2015年の不適切会計の発覚以降で最高の水準に達した。この背景には、同社が買収合戦の標的となるとの期待がある。東芝を巡っては、米投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)やカナダの資産運用会社ブルックフィールドも買収合戦に参戦する可能性もあるとみられている。
株式非公開化は同社にとって、「物言う株主」対策ともなり得る。同社は昨年の株主総会を巡り、「物言う株主」として知られるシンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントから、「株主を抑圧した」と批判されている。
ただ、東芝は今回、「CVCは当社株主構成が同社の企業価値に悪影響を与えていると主張しているが、当社取締役会としてはそのようには考えていない」と強調。非上場化の提案を排除するものではないが、現時点では「上場会社としてのメリットを生かすことが企業価値の向上につながる」との考えを示した。[日本企業の動向]
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