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J&J製ワクチンの使用中断 EU、血栓報告受け調査完了まで

欧州連合(EU)と米国で13日、米国の製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した新型コロナワクチン「ヤンセン」の展開が一時停止された。同ワクチンの接種を受けた人に血栓が見られたとの報告を受け、因果関係の調査が完了するまで展開を見合わせる。EUでは接種が1回で済む同ワクチンの導入により、遅れているワクチン展開の加速に弾みがつくと期待されていただけに痛手となりそうだ。

米食品医薬品局(FDA)はこの日、米国で同ワクチンの接種を受けた680万人超のうち、6人が血小板減少を伴う脳静脈洞血栓症を発症したと発表。これらの症例を巡る調査が完了するまで、予防措置として同ワクチンの展開を停止することを推奨した。

この問題を巡っては、欧州医薬品庁(EMA)も9日に調査を開始していた。EMAは同ワクチンの展開を巡る方針をまだ明らかにしていないが、J&Jはこの日、「予防的措置として、欧州での同ワクチンの展開を延期することを決めた」と発表した。キリヤキデス保健衛生担当委員は「EMAは同ワクチンを巡る米国での展開を注視し、FDAと連絡を取り合っている」とコメントしている。

BBC電子版によると、EUはこの前日に、同ワクチンの第1回目の供給を受けたばかりだった。ブルームバーグによると、接種が1回で済む同ワクチンが使用できなければ、EU人口の4分の3に投与を完了するのに12月までかかるとの見方もある。

ヤンセンはJ&J傘下のヤンセン・ファーマシューティカル(ベルギー)が開発。治験で67%の有効性が確認され、EMAは3月に同ワクチンを承認していた。

なお、ワクチン接種後の血栓塞栓症の確認事例は、英国の製薬大手アストラゼネカがオックスフォード大学と共同で開発した新型コロナウイルスワクチンでも報告されている。EMAは同ワクチンについて、依然として有益性がリスクを上回るとの見解を示したものの、血栓症を極めてまれな副反応の一つとして掲載するよう命じた。EU加盟各国は独自の判断で、高齢者以外への投与を制限するなどの措置を取っている。

■EU、英製ワクチン契約打ち切りか

欧州委員会は、アストラゼネカとJ&Jのワクチンの供給契約を年内で打ち切ることを決めたもようだ。イタリア保健省の関係者の話として、伊紙ラ・スタンパが14日伝えた。

欧州委は、多くのEU加盟国首脳と合意の上、「ウイルスベクターワクチンを手掛ける企業との契約を来年は更新しないことを決めた」という。アストラゼネカとJ&Jのワクチンはいずれも、無害なウイルスを媒介(ベクター)として新型コロナウイルスの遺伝子をヒトの細胞に運ぶ仕組みを採用している。[EU規制]


関連国・地域: 英国EU米国
関連業種: 医療・医薬品マクロ・統計・その他経済社会・事件

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