東芝は7日、英国の投資会社CVCキャピタル・パートナーズから買収の初期提案を受け取ったことを明らかにした。内容は明らかにしていないが、フィナンシャル・タイムズなどによると、CVCは200億ドルの買収額を提示しており、買収後は同社の上場を廃止する方針。取引が成立すれば日本企業の買収案件としては過去最大規模となる見通し。
東芝は声明で、「昨日(6日)初期提案を受領したばかり」とした上で、「今後、詳細情報を求め、慎重に検討していく」との方針を示した。また、「CVCからこれまで今回の買収に関する打診は受けていない」としている。
東芝の車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)は、2018年に就任するまでCVC日本法人の会長を務めていた。
フィナンシャル・タイムズは消息筋の話として、東芝がここ数カ月に他のプライベート・エクイティ(PE)企業と身売りに向けた非公式交渉を行っていたと伝えている。同社が投資会社に買収され、株式が非公開化されれば、145年にわたる東京証券取引所での上場の歴史に幕が引かれることになる。
株式非公開化は同社にとって、「物言う株主」対策ともなり得る。同社は昨年の株主総会を巡り、「物言う株主」として知られるシンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントから、「株主を抑圧した」と批判されている。東芝はこれを否定しているが、今年3月に開かれた臨時株主総会では、エフィッシモが提案する独立調査の実施が承認された。これを受け、車谷社長の引責辞任に発展する可能性があるとの憶測も流れている。
BBC電子版によると、東芝は2015年、過去6年にわたる不適切会計が発覚。17年には破綻の危機に直面し、稼ぎ頭だった半導体事業を売却した。18年に初の社外出身トップとなる車谷社長が就任してからは経営再建に取り組み、今年1月にようやく東証二部から一部への復帰を果たしていた。[日本企業の動向]
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