食事宅配サービスの英デリバルー(Deliveroo)は3月31日、ロンドン証券取引所(LSE)で上場した。新規株式公開(IPO)価格は仮条件の下限の390ペンスに設定されたが、時価総額は75億9,000万ポンドと、ロンドンでの上場案件としては過去10年で最大規模となった。
同社は総発行株式の21.3%を上場し、約15億ポンドを調達した。2種類の株式を発行する制度を採用し、創業者のウィル・シュー最高経営責任者(CEO)の持ち株6.2%の議決権は1株当たり20を付与する一方、その他の株では1株当たり1としている。
シュー氏は上場に際して「引き続きイノベーションに投資し、レストランや食料品店の事業を成長させ、利用者にこれまで以上の選択肢と、配達員に多くの仕事を提供していく」と述べている。
この日は機関投資家だけの取引だったが、株価は最大30%下がり、初日終値は14%低い284ペンスだった。一般投資家の取引は4月7日からとなる。
デリバルーは昨年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)を受けた顧客数と利用頻度の増加で、売上高は12億ポンドと54%伸びた。ただ配達員の位置付けが、各国で問題となっている。イタリアでは先に、ミラノの検察当局がデリバルーをはじめ食事宅配サービスを手掛ける事業者4社に、配達員を従業員として雇用契約を結ぶよう命じた。また英国では、最高裁判所がウーバーの配車サービスの登録ドライバーを従業員と認め、法定最低賃金や有給休暇の保証を同社に求める判決を下しており、デリバルーもビジネスモデルの見直しを迫られている。
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