英国の製薬大手アストラゼネカがオックスフォード大学と共同で開発した新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人に血栓が見られたとの報告を巡り、欧州医薬品庁(EMA)は18日、同ワクチンが血栓のリスクを高めることはないとの結論を下した。ワクチンの有益性は副反応のリスクを上回るとの見方をあらためて示している。事実上の「安全宣言」が出されたことを受け、ドイツやフランスなど同ワクチンの使用を中断していた欧州諸国の一部は19日、接種を再開した。
EMAは、「同ワクチンは接種を受けた人の血栓リスク上昇との関連性がない」と断言。「新型コロナウイルス感染症(COVID19)に対するワクチンの有益性は、依然として副反応のリスクを上回っている」との見解を示した。
ただ、血小板減少症に関わるきわめて稀な血栓症との関連性はなお否定できないとして、ワクチンの説明書にこうした情報を盛り込むよう求めた。英国と欧州で同ワクチンの接種を受けた2,000万人のうち、こうした症状の報告例は計25件だったという。
同ワクチンについては世界保健機関(WHO)も17日、「有益性がリスクを上回る」との見解を示し、接種を継続するよう推奨していた。WHOは、「血栓は世界で3番目に多い死因」で、ワクチンを受けた人の間でも同じ比率で発症するのは自然との見方を示している。
EMAの「安全宣言」を受け、ドイツとフランスは19日朝に接種を再開。フランスではカステックス首相もこの日にアストラゼネカのワクチン接種を受け、国民に安全性をアピールした。イタリアやキプロス、ラトビア、リトアニアなども両国に続く方針のほか、スペインは24日の再開を予定している。
この問題を巡っては、欧州で十数カ国が同ワクチンの使用を見合わせていたほか、オーストリアなど数カ国が特定バッチの使用を停止。タイやコンゴ民主共和国(旧ザイール)、ベネズエラなど欧州域外にも使用や承認を見合わせる動きが広がり、世界的なワクチン展開への影響が懸念されていた。[EU規制]
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