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英政府、会計業界・企業統治の改革で提案

英政府は18日、会計監査とコーポレートガバナンス(企業統治)の体制の改革に向けて幅広い提案を公表した。監査における4大会計事務所のPwC、KPMG、デロイト、アーンスト&ヤング(EY)による独占を是正し、大手企業の財務に関する透明性を強化する狙いがある。政府は7月8日までこの提案に対する意見を募った後、法制化を進める。

提案では、大手企業に対して4大会計事務所以外の会計事務所に会計監査の重要部分を任せるよう求める。これにより会計業界の競争が促進されない場合には、ロンドン証券取引所(LSE)のFTSE350構成企業の会計監査に対する4大会計事務所のシェアに上限を設ける。

財務報告では、監査人と取締役の双方に不正を見つけ出し阻止する新たな義務が導入される。また、企業会計を監視する財務報告評議会(FRC)に代わり創設が決まっている監査・財務報告・企業統治監督機構(ARGA)に大きな権限を与える。これによりARGAは、会計事務所に対して監査業務をコンサルティングなどの業務から運営上分離するよう求めることができるほか、企業で深刻な問題が起きれば裁判所を通さずに財務諸表の作成をやり直すよう命令できるようになる。

提案では、大手企業の取締役の責任も強化することを示した。財務諸表の重大な間違いや重要な情報の隠蔽(いんぺい)など深刻な不祥事があれば、取締役個人に罰金を科すか職務を停止させる。破綻や深刻な不祥事が明らかになれば、取締役のボーナスを最大2年にさかのぼって返還することを義務付ける。また、企業が経営難に陥るなど十分な資金がない場合には、配当金やボーナスの支払い停止が求められる。取締役には、短期・長期のリスクを軽減する方法を明示した声明を毎年公表する必要も示した。

英国では、2018年に破綻した英建設大手カリリオンや大手百貨店ブリティッシュ・ホーム・ストアーズ(BHS)、2019年に破綻した旅行大手トーマス・クックの会計監査を巡って、4大会計事務所を中心とする会計業界の健全性について批判が噴出。これまでに同業界と企業の財務報告の改革に向けて、FRCや英競争・市場局(CMA)などが提言をまとめた報告書を公表していた。


関連国・地域: 英国
関連業種: 金融サービスマクロ・統計・その他経済

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