英国の最高裁判所は19日、米国の配車サービス大手ウーバー(Uber)の登録ドライバーを従業員と認め、法定最低賃金や有休休暇の保証を同社に求める判決を下した。下級審の判決を支持し、登録ドライバーは個人事業主だと主張していた同社の言い分を退けた。自らを顧客とドライバーの仲介プラットフォームと位置付けるウーバーのビジネスモデルを大きく揺るがす格好となる。
この裁判は2016年に、登録ドライバー35人が提起したもの。ウーバーが顧客の配分や料金決定などを管理し、遅延や接客といったドライバーの業績を監視しているため、従業員に分類されると訴えていた。一方のウーバーは、テクノロジーを使って個人事業主であるドライバーと顧客をつなぐ仲介業者にすぎないと主張。しかし、ロンドンの雇用審判所および雇用上訴審判所(EAT)ではいずれもウーバーが敗訴したため、最高裁に上訴していた。
最高裁ではこの日、7人の判事が全員一致でドライバー側の言い分を支持した。レガット判事は「ドライバーはウーバーに従属・依存する立場にあり、職業的、起業家的スキルを通じて自らの経済的地位を向上できる余地がほとんどない」と指摘している。
これにより、原告のドライバーらには今後、法定最低賃金が適用されるほか、有給休暇や勤務中の休憩時間も認められる。原告側の弁護士らによると、ほかにも最低1万5,000人のドライバーが同様の集団訴訟の準備を進めており、これらのドライバーにもこうした待遇が適用される可能性がある。
ウーバーは今後、原告のドライバーに雇用審判所が定める補償を支払う必要がある。フィナンシャル・タイムズによると、同社が集団訴訟の原告らに支払う補償額は、1人当たり1万2,000ポンドに上る可能性がある。[労務]
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