ドイツの鉄鋼・エンジニアリング大手ティッセンクルップは、鉄鋼事業の売却を巡り、英国の富豪サンジーブ・グプタ氏が率いるGFGアライアンス傘下の鉄鋼リバティ・スチール・グループとの交渉が決裂したと発表した。両社の間で、事業価値や取引の形に対する意見の相違が大きかった。
リバティは昨年10月に買収を提案し、1月末にも新たな提案を示していたが、提示額などは明らかにされていなかった。ティッセンクルップは今回、この最新の提案を慎重に検討し、リバティと緊密な協議を行ったものの、ティッセンクルップが示した主要な条件について解決できなかったと説明。今後の鉄鋼事業については、「独自に持続可能な地位の推進を続ける」として、鉄鋼戦略の策定に取り組む方針を示した。
一方、リバティは、「金額の想定の違いで現段階では協議を中止した」と説明。ただし同社の提案が、鉄鋼事業にとって長期的に持続可能な唯一の計画との自信を示している。
ティッセンクルップの鉄鋼事業は不振が続いていたが、鉄鋼に対する需要は回復傾向にあり、鉄鋼価格も9年ぶりに高い水準につけている。このため鉄鋼事業を性急に手放す必要もなくなり、スピンオフ(事業の分離・独立)も視野に入れているとされる。それにより、同事業に関心を持つ企業も買収に乗り出しやすくなるとみられている。
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