イタリアの首相候補に指名されていた欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ前総裁は12日夜、マッタレッラ大統領と会談し、首相への就任を受け入れた。閣僚名簿を提出して承認され、ドラギ氏は会談後に人事を公表。前政権で連立を組んでいた左派の「五つ星運動」と中道左派の民主党に、野党の右派勢力も取り込んだ挙国一致の大連立内閣が発足する。
五つ星運動のディマイオ外相は留任する見通し。新型コロナウイルス対策で陣頭指揮を執るスペランツァ保健相も職務を継続する。経済財務相には、ドラギ氏の右腕となることが期待されている中銀イタリア銀行のダニエレ・フランコ上級副総裁を指名した。
ベルルスコーニ元首相が率いる中道右派政党「フォルツァ・イタリア」および、サルビーニ党首が率いる右派政党「同盟」からは共に3人が入閣する見込みだ。サルビーニ党首はテレビ番組のインタビューに対して「私と相容れない人々と手を組むことになったとしても、国民は問題解決を望んでいる」と苦渋の選択だったことをにじませた。
ドラギ氏はいずれの政党にも所属していない。ECB総裁を務めていた2010年代に起きた欧州債務危機への対処で辣腕を振るい、「スーパーマリオ」の異名も持つ。首相就任後は、欧州連合(EU)復興基金からイタリアに割り当てられる予定の約2,090億ユーロの獲得に向けて、経済財務相となるフランコ氏と連携しながら改革プランへの準備に取り組むことが予想される。
ドラギ氏と閣僚候補は13日に就任宣誓式に臨み、週明けに議会での信任投票を通過する必要があるが、ほぼ全ての主要政党が支持していることから、信任は確実視されている。
極右政党「イタリアの同胞」のみが新政権を支持していない。
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