自動車製造取引業者協会(SMMT)は28日、2020年の英国の乗用車生産台数が92万928台となり、前年比29.3%減少したと発表した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)に伴う工場やショールームの一時閉鎖などが響き、1984年以降で最低を記録。SMMTは、今年の生産台数は100万台規模に持ち直すと予測するものの、新型コロナ危機からの経済回復や市場の景況感、英国と欧州連合(EU)間の新たな貿易協定に左右されるとしている。
マイク・ホーズ最高経営責任者(CEO)はオンライン記者会見で、英国とEUが20年12月に通商交渉で妥結し、現時点で無関税状態を維持できていることについて「とてつもなく安堵している」とコメント。特に日本メーカーが最も安心していたと振り返った。日産自動車がイングランド北東部サンダーランドの工場で電気自動車(EV)バッテリーの生産を開始することについては、良い知らせだとしながらも「(さらなる投資を呼び込むためには)英国の競争力を維持しなければならない」と話した。加えて、英・EU間で円滑に自動車の貿易を継続していくためにも「英国の製品規制はEUのそれに沿うべき」とし、ブレグジット後に通関コストなどが発生する中、世界的競争力の回復とゼロエミッション車両の提供が課題となっているとした。
■各社軒並み2桁減に
20年の生産台数のうち、国内向けは17万1,890台と30.4%減少。全体の8割超を占める輸出向けは29.1%減って74万9,038台だった。
輸出先別では、全体の53.5%を占めるEU向けが30.8%落ち込んだ。2番目に大きな市場の米国(シェアは17.7%)は33.7%減、日本(同3.5%)は21.6%減といずれも2桁台の落ち込みを示した。一方、中国(同7.6%)は2.3%増えている。
メーカー別では、インドの自動車大手タタ・モーターズ傘下の英高級車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)が36.7%減少。独高級車BMW傘下のミニは20.8%減った。欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とフランスのグループPSAが経営統合して誕生した新グループ会社「ステランティス」傘下のボクソールは47.8%縮小している。日系メーカーでは、日産は29.1%、トヨタ自動車は21.5%、ホンダは36.3%それぞれ落ち込んだ。
12月に限ると、乗用車生産台数は全体で1年前から2.3%減少し7万1,403台。国内向けは51.3%拡大したが、輸出向けが11.9%縮小した。
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