欧州連合(EU)は21日開催したオンライン首脳会議(サミット)で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)対策について協議し、加盟国間の不要不急の渡航を制限することで一致した。感染拡大が収まらない場合は、渡航規制を厳格化する可能性もあるとしている。
4時間にわたるサミットでは、英国などで広がる変異種による感染拡大や医療体制のひっ迫を受け、第2波への対応が集中的に協議された。
フォンデアライエン欧州委員長はサミット後の記者会見で「非常に深刻な状況を考慮し、国内および国境をまたぐ全ての不要不急な渡航は控えるべき」と強調。EU域内で、感染水準が非常に高い地域を示す新たな区分「ダーク・レッド」を設け、こうした地域からの渡航者には事前の検査や到着後の隔離を実施することも提案したと明らかにした。
EUのミシェル大統領は「不要不急の渡航を制限するため、おそらく追加の規制が必要になるだろう」と説明した。
両氏は一方で、国境の往来の重要性も強調。フォンデアライエン欧州委員長は「労働者や貨物が引き続き往来できるよう、単一市場の機能を維持することは絶対的に重要だ」と述べている。
■「ワクチン・パスポート」実施は見送り
この日のサミットでは、EU域内共通のワクチン接種証明書の発行についても議論が行われた。これは「ワクチン・パスポート」と呼ばれる構想で、観光大国であるギリシャのミツォタキス首相が先に、夏に向けて域内の自由な移動を後押しする狙いで提案したもの。
ミシェル大統領は、医療目的で活用することを前提とした上で、加盟国に対し記載する共通項目で合意するよう促した。だが、医療目的以外での使用については、さらなる協議が必要だとし、実施は見送られた。[EU規制]
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