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40カ国超、英との往来禁止 新型コロナ変異種の感染防止策で

英国で新型コロナウイルスの変異種の感染が拡大していることを受け、欧州をはじめ世界40カ国以上が20日から21日にかけて、英国を発着する航空便や鉄道、貨物便などを一時的に停止する措置に出た。変異種は従来より感染力が高いとされ、英国では既に「封じ込めが困難」な状態にあるという。こうした事態を受け、欧州連合(EU)は21日、英国に対する共通対応を巡り緊急会合を開催。一方のジョンソン英首相も危機管理委員会(COBRA)を招集した。

フランス政府は21日午前0時から48時間、英国からの旅客・貨物を含む陸海空全ての入国を停止。首相官邸は、この間にEUとしての方針が決まると説明。ボーヌ欧州問題担当相は22日にも対策を発表し、23日から導入する方針を示している。

ドイツ政府も同日から31日まで、貨物便を除いて英国発の航空便の乗り入れを禁止。フランス通信(AFP)によると、政府は既に、1月以降も同措置を延長する方向で準備を進めているという。

イタリアのスペランツァ保健相は、来年1月6日まで英国からの航空便を停止するとともに、同国に過去14日間滞在した人の入国を禁止することを定めた法令に署名。同国では先に、英国からの帰国者1人が変異種に感染していたことが発覚している。このほか、アイルランドやオランダ、ベルギー、フィンランド、スイス、ポーランドなど欧州のおよそ20カ国が英国からの渡航をこれまでに禁止または制限しているほか、カナダやイスラエル、クウェートを含む域外国・地域も同様の策を講じている。

こうした動きを受け、EUでは21日、保健相会合および危機対応チームによる協議がそれぞれ開かれた。加盟各国による共通の対策内容を決めるためのものだが、方針決定は22日に持ち越される見込み。BBC電子版によると、英国からの入国者に感染検査を義務付ける案などが挙がっているという。

ジョンソン首相もこの日、COBRAを招集した。その後の記者会見では、各国に不安な気持ちが広がっているとの認識を示した上で、英政府は変異種について分かっている情報を迅速に共有したと説明。クリスマスに人々の交流が増えることから、向こう数週間は新規感染者数は増加するとし、状況を注視しながら、新たな治療法の開発や国民のワクチン接種を進める方針を明らかにしている。

新型コロナの変異種は、既存のウイルスと比べて最大70%感染しやすく、基本再生産数を0.4ポイント以上押し上げる可能性もあるという。変異種がより深刻な症状や致死率の上昇を招く確証はなく、ワクチンが効かない可能性も低いとみられている。9月に初めて英国で確認されて以降、ロンドンやイングランド南東部を中心に感染が急速に広がっている。

フランス政府が英国との往来を停止したことに伴う英仏海峡トンネルの通行止めや、ドーバー港の閉鎖により、欧州大陸と英国間では、物流の大幅な遅延や混乱も懸念されている。クリスマス休暇を控え、英国では食品を含む生活必需品の在庫不足により、スーパーなどでパニック買いが発生する可能性も高まっている。


関連国・地域: 英国EU
関連業種: マクロ・統計・その他経済社会・事件

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