独政府は15日、情報技術(IT)セキュリティー法案を閣議決定した。第5世代(5G)通信インフラ機器の全供給企業にセキュリティー上の厳しい条件を課すもので、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)のみを締め出すことは避けた格好。同社からの調達禁止を求めていた米トランプ政権にとっては痛手となるものの、同社が繰り返し条件に反した場合には調達を制限または禁止できる内容となっている。
同法案では5G機器メーカーに対し、情報開示やセキュリティー監査の受け入れ、欠陥の報告や是正などの条件を課している。また、首相府と内務省、経済省、外務省の代表から成る委員会を設置し、こうした条件に違反したメーカーを不適格と認定する権限を付与。違反を繰り返したメーカーは、調達禁止の対象となる可能性もある。
同法案は今後、連邦議会(下院)で承認を得る必要がある。
華為の広報担当者は同法案について、「全てのサプライヤーに平等により高いセキュリティー基準を課すもの」として、歓迎するコメントを発表している。
米国は、華為が中国政府の差し金によりスパイ行為を行っているとの懸念から、国内で同社からの機器調達を禁止しており、他の同盟国にも同様の措置を求めていた。これに対しメルケル首相はかねて、特定の企業を5G網構築から排除することに反対し、全企業に高いセキュリティー基準を課すべきと訴えていた。
なお、米国のバイデン次期大統領は、対中貿易やトランプ政権の華為ボイコットを巡る姿勢をまだ明らかにしていない。
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