欧州委員会は20日、環境面での持続可能性に基づいて投資を分類する「欧州連合(EU)タクソノミー規則」の分類基準案を公表した。自動車メーカーの事業活動がグリーン投資の対象として認められるためには、車両の二酸化炭素(CO2)排出量を現行基準以下に削減する必要があり、自動車業界は反発している。
「EUタクソノミー規則」の分類基準案は、意見公募を経て年内に成立し、2021年末に適用が開始される見通し。欧州委は、投資会社や年金基金、金融機関などの民間投資家に対し、同基準に基づく投資内容の情報開示を義務付けることにより、サステナブル・ファイナンスを促すことを狙っている。
今回公表された基準案によると、乗用車および重量3.5トン未満の商用車の製造事業がグリーンな投資対象として認められるのは、生産する車両のCO2排出量が走行距離1キロメートル当たり50グラム未満の場合のみ。これは、EUの現行の排ガス規制で定められたCO2排出量の上限である走行距離1キロメートル当たり95グラムよりも厳しい。
さらに26年以降は、ゼロ排出車のみがグリーン投資対象となり、ハイブリッド車(HV)は除外される。
欧州自動車製造工業会(ACEA)は、「自動車業界が車両のクリーン化に向け追加資金を必要とする中、こうした規則により投資が妨げられれば逆効果になる」と反発している。
なお、今回の分類基準案では、天然ガス火力発電所についても、CO2排出量を1キロワット時当たり100グラム以下に抑えない限りグリーン投資として認めていない。ポーランドをはじめとする東欧のガス火力発電所の排出量はこの3倍以上に上るため、これらの国で事実上、ガスを締め出す格好となる。[環境ニュース][EU規制]
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