英中銀イングランド銀行は4日に開いた金融政策委員会(MPC)で、金融資産購入による量的緩和策の規模を1,500億ポンド拡大し、8,950億ポンドとすることを決めた。イングランドで2度目のロックダウン(都市封鎖)が開始される中、追加の金融緩和により家計支出の底上げを狙う。政策金利は過去最低の0.1%に据え置いた。
議事録によると、資産購入枠の拡大とその規模は全会一致で決まった。金利の据え置きも全会一致で支持されている。同行がかねて検討しているとされるマイナス金利の導入については、今回は議題に上らず今後に持ち越された。
中銀は追加緩和の理由について「各種の定期的指標で、消費支出が軟化する兆しが見られるとともに、投資意欲も依然として低調なため」と説明している。また、同行のベイリー総裁は、新型コロナウイルス感染の急激な再拡大と全国各地での制限措による「大打撃」を背景に、追加緩和を決断したとコメント。「迅速で力強い」行動が重要との考えを示した。
中銀は3月に政策金利を0.75%から0.25%に引き下げたが、その直後に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)を受け、史上最低の0.1%へと緊急の追加利下げを行った。6月には量的緩和策の規模を7,450億ポンドへと1,000億ポンド拡大したが、市場では、今回のMPCで一段の規模拡大に踏み込むとの見通しが広がっていた。
国内総生産(GDP)は、2020年第4四半期(10~12月)に前期比2%縮小するものの、来年第1四半期にはプラスに回復するとみている。ただ、この見通しは、新型コロナウイルスの感染拡大が徐々に収まり、欧州連合(EU)との自由貿易交渉がまとまることを前提としている。いずれの要素も先行き不透明感が強いことから、中銀は今回の見通しについて大きな誤差を見込んでいる。
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