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HSBC、詐欺絡み送金黙認 フィンセン文書の流出で発覚

英国の金融大手HSBCホールディングスが2013~14年に、投資詐欺絡みの資金と知りながら8,000万ドルの国際送金に応じていたことが発覚した。米国の投資詐欺集団が同行の米国事業を通じて香港の口座に送金するのを黙認していたという。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した米財務省からの流出書類で明らかになった。これを受け、同行の株価は1995年以降で最低の水準に暴落している。BBC電子版が20日伝えた。

ICIJは、米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)から漏えいした「フィンセン文書」と呼ばれる2,657件の書類を入手。これらの書類のうち2,121件を占めるのが、銀行から提出された「不審行為報告書(SAR)」だった。米国で事業を行う銀行は、不正が疑われる顧客の活動についてSARを提出する義務がある。

それによると、HSBCが国際送金を黙認していたのは、新しい投資家から預かった資金を既存の投資家に分配する「ポンジースキーム」と呼ばれるねずみ講的な手法による詐欺集団。創始者の在米中国人は2017年に中国当局に逮捕され、詐欺罪で懲役3年を科されている。同行は11~17年に、疑わしい資金が自行の香港口座を通じて移動していることに気付きながら、国際送金を認めていた。

これを受け、香港市場でのHSBCの21日終値は5.3%安となった。同行はロンドンに本社を置くが、利益の大半は香港が占める。

なお、フィンセン文書からは他にも、ロシアのプーチン大統領の側近が英国の金融大手バークレイズを通じて制裁を回避していたことや、同国のスタンダード・チャータード銀行がテロ資金供与に利用されていたヨルダンのアラブ・バンク口座への送金に応じていたことなども発覚。FinCEN内部で英国がキプロス並みの「ハイリスク国」と見なされていたことも明らかになっている。

なお、ICIJはこれまでにも「パナマ文書」や「パラダイス文書」を入手・分析し、数々の金融不正発覚に一役買っている。


関連国・地域: 英国
関連業種: 金融社会・事件

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