欧州自動車工業会(ACEA)は14日、英国や欧州連合(EU)加盟各国の自動車工業会と連名で、英・EU間の自由貿易協定(FTA)交渉を早急に妥結するよう要求する声明を発表した。英国のEU離脱後の移行期間が終了する12月31日までに合意がまとまらなければ、欧州自動車産業は2025年までにおよそ1,100億ユーロの損失を被ると訴えている。
声明によると、英・EU間で合意がまとまらず、世界貿易機関(WTO)のルールに基づき自家用車に10%、商用車に最大22%の関税率が適用された場合、EU域内および英国の自動車・商用車生産台数は向こう5年で計300万台減少する恐れがある。また、新型コロナウイルス危機により既に約1,000億ユーロ落ち込んでいる英・EU間の自動車取引高が、向こう5年でさらに最大1,100億ユーロ減ると予想している。
また、英国およびEU域内の自動車業界が抱える雇用は1,460万人と、英・EUの労働者人口の15人に1人に相当するが、合意がまとまらなければこれらの雇用が脅かされることになるとしている。
今回の声明にはACEAと欧州自動車部品工業会(CLEPA)に加え、英国の自動車製造取引業者協会(SMMT)、独自動車工業会(VDA)、仏自動車工業会(CCFA)など21カ国の業界団体が署名した。
ACEAのエリック・フイテマ事務局長は「英・EU間の野心的な貿易協定が実現しなければ、新型コロナ危機で既に打撃を受けている自動車産業が二重に打ちのめされることになる」と話している。[EU規制]
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