欧州中央銀行(ECB)は10日に政策理事会を開き、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を過去最低のゼロ%に据え置くことを決めた。中銀預入金利もマイナス0.5%で維持。3月に設けた「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」の資産購入枠も今回は拡大せず、1兆3,500億ユーロにとどめた。ただ、経済回復が勢いを失いつつあり、ユーロ高でインフレ見通しも芳しくないことから、さらなる刺激策の導入もあり得るとの見方が広がっている。
ECBは、インフレ率が目標とする2%に向けて持続的に推移するよう、必要に応じて引き続きあらゆる手段を調整する用意があると説明。資産の購入については、政策金利の緩和の影響を強化する必要がある限り継続する方針を示した。
ECBのラガルド総裁は記者会見で、理事会ではユーロ相場の動きが中期的なインフレ見通しに与える影響を含めて情報を分析したと説明。また製造業は引き続き回復に向かっているもののサービス業の勢いが鈍化し、個人消費は改善しているが経済見通しが極めて不透明なため依然として抑制されていると述べた。
なおECBは、今年のユーロ圏の域内総生産(GDP)が8%縮小するとして、前回6月時点のマイナス8.7%の見通しからやや引き上げた。来年は5%、2022年は3.2%それぞれ拡大すると予想。インフレ率の見通しについては、今年は0.3%と前回から据え置いた。来年は1%、2022年が1.3%としている。
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