イングランド北部とロンドンを結ぶ高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」の建設工事が4日、遂に始まった。準備工事は既に進められていたが、政府が4月に着工命令を出したことを受け、第1期区間であるロンドン―バーミンガム間の敷設に正式に着手した。これにより、向こう数年で2万2,000人の雇用が創出される見通し。HS2事業会社が発表した。
第1期区間のうち、中部ウエストミッドランズ地域の工事の大部分を英建設大手バルフォア・ビーティーと仏同業バンシ(Vinci)の合弁会社が手掛け、7,000人を雇用する予定。
一方、同地域南部のウォーリックシャー州ロングイッチントンウッド(Long Itchington Wood)からバッキンガムシャー州のチルターン・トンネルまでは、仏エファージュ(Eiffage)と英キアー(Kier)・グループ、同BAMナトール(Nuttall)、スペインのフェロビアル(Ferrovial)の合弁会社が担当。向こう2年に4,000人を雇用する。
グレーター・ロンドンでの工事は、スウェーデンのスカンスカ、英コステイン(Costain)、オーストリアのストラバグ(Strabag)の合弁会社と、バルフォア、バンシ、仏シストラ(SYSTRA)の合弁会社、仏ブイグ(Bouygues)、英サー・ロバート・マカルピン、オランダのフォルカーウェッセルズ(VolkerWessels)の合弁会社、英メース(Mace)とスペインのドラガドスの合弁会社の4社が手掛け、計1万人超の雇用を予定する。このほか、HS2自体も向こう3カ月に500人を採用するとしている。
ジョンソン首相は「HS2は経済成長の起爆剤となり、今後、長期にわたり国内の経済的機会のバランスを取り直す」とコメントしている。
第1期工事には300本超の橋と70カ所の高架橋の建設も含まれる。2028~31年の完工が見込まれ、開通すればロンドンからバーミンガムまでの所要時間は1時間21分から45分に短縮する見通し。
なお、第2期工事ではバーミンガムからマンチェスターおよびリーズ間の2路線を敷設する計画で、2035~40年に完工するとみられる。HS2計画の総工費は、当初予算の557億ポンドから約2倍の1,066億ポンド(2015年の物価ベース)に膨らむ見通しとなっているほか、工期も大幅に遅れている。加えて、多数の原生林や野生生物の生息地が破壊されることから、環境団体は同計画になお反対し続けている。[労務]
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