ロシアのプーチン大統領は11日、世界初の新型コロナウイルスのワクチンがロシアで承認されたと明らかにした。体内に安定した抗体を形成するもので、プーチン氏の娘も投与を受けたという。政府は数週間以内に大量生産を開始し、10月から医療関係者らへの投与を始める方針だが、欧米の専門家は安全性や効果に疑問を示している。フィナンシャル・タイムズなどが伝えた。
このワクチンは、ガマレヤ記念国立疫学・微生物学研究センターと国防省が共同で開発したもので、「スプートニクV」と命名された。6月18日に開始した臨床試験には38人が参加し、全員が免疫を獲得したとされる。2度の注射で異なる成分を投与し、長期的な抗体を形成するという。
プーチン大統領によると、娘は同ワクチンの試験的投与を受け、1度目の接種後は38度の発熱があったが、翌日には37度強に下がった。2度目の接種後も微熱が出たが、その後の体調は良好で、高レベルの抗体が形成されているという。プーチン氏には1985年生まれと86年生まれの2人の娘がおり、その内の一人が同ワクチンの投与を受けたとみられる。
ムラシコ保健相によると、同ワクチンの生産は同研究センターと医薬品企業ビノファーム(Binnopharm)の2カ所で間もなく開始される。今後も臨床試験は継続される見通し。登録承認書によると、一般市民への投与は2021年1月1日に開始される。
ただ欧米の専門家は、ロシアが国際的な慣行に反し、このワクチンの詳細情報を公開していないため、評価が下せないとしている。また、大規模な臨床試験と一般国民への展開の区別が曖昧な点も批判されている。
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