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自主隔離の再導入は「不当」 スペイン首相、英国に不快感

英政府がスペインからの入国者に14日間の自主隔離を再度義務付けたことを受け、両国の間で混乱が広がっている。スペインのサンチェス首相が「不当だ」と不快感を示す一方、英国のジョンソン首相はこの判断の正当性を主張している。BBC電子版などが伝えた。

サンチェス首相は地元のテレビ番組に出演し、英国の「間違い」を批判。イビザ島やマヨルカ島、カナリア諸島などでは、旅行客は英国よりも安全な環境にいると強調した。また、決定見直しを求めて英政府と連絡を取っているという。ただ、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の28日時点の調査によると、過去14日間の人口10万人当たりの新規感染者数は英国で15人なのに対し、スペインでは47.2人と高水準となっている。

一方、ジョンソン首相は28日、欧州の複数の国々で新型コロナウイルス流行の第2波の兆候が現れつつあると警鐘を鳴らし、「他国で第2波の兆候が見られた場合、迅速で決断力のある行動をすることがわれわれの仕事であり義務だ」と説明。パンデミック(世界的流行)の真っ只中に海外旅行をしてリスクを取る場合、政府の責任ではなく、個々の責任だと言及した。

英国はスペインで新型コロナウイルスの感染が急拡大していることを受け、26日付で自主隔離措置の免除対象国・地域のリストから除外。スペイン本土については渡航自粛を呼び掛けている。これにはカナリア諸島や、マヨルカ島などのバレアレス諸島は含まれていないが、それでも帰国時の自主隔離義務は発生する。

しかし、デーリー・テレグラフによると、英政府は入国者の自主隔離日数を10日に短縮することを検討しているという。実現すれば、新規制では高リスク国からの入国者には入国から8日後に検査を実施し、結果が陰性の場合はその2日後に隔離義務が解かれる。

スペインに対しては、ドイツも28日、北東部カタルーニャ州、アラゴン州、ナバラ州を対象に渡航自粛を要請。フランスもカタルーニャ州への渡航自粛を呼び掛け、ノルウェーもスペインからの入国者に10日間の自主隔離を義務付ける方針を示している。

ロイター通信によると、英旅行・物流ダートグループ傘下のパッケージ旅行会社ジェット2・コムは英政府の規制変更を受け、スペイン本土やカナリア諸島、バレアレス諸島など計10カ所行きの便を28日から全て運航停止する方針を示した。一方、英国への帰国便は運航を継続する。独旅行大手TUIも英国からスペイン本土への旅行商品を8月9日まで全てキャンセルすると明らかにしており、新型コロナ危機からの回復を狙う観光業界は出鼻をくじかれた格好だ。


関連国・地域: 英国スペイン
関連業種: 運輸観光マクロ・統計・その他経済

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