欧州中央銀行(ECB)は28日、ユーロ圏の銀行に対して配当支払いと自社株買い戻しの停止を来年1月1日まで延長するよう要請した。ECBは3月、新型コロナウイルスの流行が経済に打撃を与える中で、銀行がこれに耐えて貸し出しを維持するため、10月1日までこうした株主還元を停止するよう求めていた。
ECBは、銀行に対してボーナスなど報酬の変動部分の決定でも厳しく節度を保つよう要求している。こうした勧告については、いずれも第4四半期(10~12月)に見直しを行う。一方、流動性バッファーの要件達成を来年末まで、資本要件の達成を2022年末までそれぞれ容認することも明らかにしている。
ECBでユーロ圏の銀行監督を担う監督委員会のアンドレア・エンリア委員長は今回の決定について、「銀行が資本と流動性バッファーを使って、引き続き重要な任務である貸し出しに集中し、健全な引き受け基準を維持することが何よりも重要になっている」と述べている。
なおECBは併せて、今年のユーロ圏の域内総生産(GDP)が現行の予想のように8.7%縮小すれば、域内の大手銀行86行の「バーゼル3」全面適用時の普通株等ティア1レシオ(自己資本比率)は平均で12.6%と、1.9ポイントの低下にとどまるとの見通しを示した。域内GDPが12.6%縮小する厳しいシナリオの場合では、5.7ポイント低下して8.8%になるものの、依然として資本不足は抑えられるとしている。[EU規制]
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