欧州航空・防衛最大手エアバスは24日、フランス・スペイン両政府と、中型ワイドボディー機「A350」開発への補助金受給契約の内容を一部変更することで合意したと発表した。米国がこの補助金を巡って発動した報復関税を取り下げるためで、世界貿易機関(WTO)は昨年、これを協定違反と判断していた。
エアバスは米通商代表部(USTR)が現在課している報復関税について、米国の航空業界を含む全ての産業分野に悪影響を及ぼしており、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)に伴う厳しい事業環境にさらなる追い打ちをかけていると批判。これが、仏・スペイン政府との契約をWTOが認める内容に変更し、ルールに完全に準拠する判断につながったとしている。
ギヨム・フォーリ最高経営責任者(CEO)は今回の動きについて「エアバスは問題解決に向けた全ての手立てを講じた」と強調。これは新型コロナ危機が産業に多大な悪影響を及ぼす中、報復関税に苦しむ企業などへの明確な支援だとした。
欧州委員会のホーガン通商担当委員は声明で「欧州製品に対する正当性のない関税は受け入れることのできないもので、エアバスのコンプライアンス(法令順守)に伴い、欧州委は米国にこれらの関税を即時撤廃することを要求する」と主張。長期にわたる民間航空機を巡る紛争の交渉妥結に向けて提案をしており、公平かつ均衡のとれた結果を得るために米国と協働することに前向きな姿勢を改めて示した。
米国は昨年10月、75億ドル相当のEU製品に報復関税を適用。エアバス製品に10%、チーズやオリーブオイル、ワインなどのEU製品に25%の報復関税を発動している。
航空機メーカーへの公的支援を巡っては、WTOが米政府による米ボーイングへの補助金についても協定違反と認定。WTOはかねてEUにも、米国が発動したものと同様の報復関税を認めることを検討していた。[EU規制]
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