英製薬大手アストラゼネカは20日、オックスフォード大学と共同開発を進める新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」の初期臨床試験で、好結果が得られたと発表した。2回の投与を受けた被験者全員に免疫反応が見られ、重篤な副作用もなかったとしている。
今回の治験は、第1・2相臨床試験を兼ねたもので、AZD1222の安全性と有効性の確認が目的。18~55歳の健康な英国在住者1,077人を対象に、ワクチンを1回または2回投与した。その結果、1回の投与を受けた被験者では投与後1カ月で91%に免疫反応が見られ、2回受けた被験者では投与後1カ月で100%に免疫反応が見られた。
同社のメネ・パンガロス研究・早期開発担当執行副社長は「初期段階の結果は有望」とした上で「新型コロナウイルス感染を予防するために、どの程度の強さの免疫反応が必要かはまだ不明」とコメント。パンデミック(世界的流行)の阻止に向けた有効性を確認するには、まだ多くの作業が必要としている。
同ワクチンは、オックスフォード大学内の研究所が開発。アストラゼネカは全世界での開発と生産、販売を担っている。現在は英国で第3相治験が進められており、承認されれば年内にも提供が開始される見通し。
アストラゼネカは既に、英国に1億回分、米国に3億回分、ドイツ、フランス、イタリア、オランダの4カ国から成る「インクルーシブ・ワクチン・アライアンス(IVA)」に最大4億回分の同ワクチンを提供することで合意しているほか、日本、ロシア、ブラジル、中国とも協議を進めている。また、ワクチン分野の基金CEPIや、ガビ(GAVI)ワクチンアライアンスへの提供でも合意しており、インドのワクチン製造会社セルム(Serum)・インスティチュートには製造ライセンスを与える。
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