欧州委員会がアイルランドに対し、米アップルから未払い税130億ユーロを追徴するよう命じた問題を巡り、欧州一般裁判所は15日、この命令を無効とする判決を下した。
欧州委は2016年8月、アイルランドのアップルに対する03~14年の税制上の優遇措置が、国家補助に関する欧州連合(EU)法に違反していたとして、未払い税の追徴を命令。アイルランドとアップルはこれを不服とし、同裁判所に欧州委を提訴していた。
欧州一般裁は判決文で、「欧州委はアップルに対する税制措置がアイルランド税務当局の自由裁量の結果であるという証拠を示していない」と指摘した。また、アイルランドは欧州委が権限を逸脱し、EU加盟国の税制を巡る主権を侵害したと訴えていたが、これについては、同委には加盟国の税制を精査する権限があるとの判断を下している。
欧州委は14日以内に欧州司法裁判所に上訴することができる。同委のベステアー競争担当委員は、「判決内容を検討し、次の措置を考える」としている。
欧州委はかねて、多国籍企業への税制優遇に対する締め付けを強化している。その一環として、オランダに対しても米コーヒーショップチェーン大手スターバックスから3,000万ユーロの追徴税を徴収するよう命じていたが、欧州一般裁は昨年9月、この命令も無効とする判断を下していた。[EU規制]
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