英政府は14日、2027年末までに第5世代(5G)通信網から中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の機器を完全に排除すると発表した。国内通信事業者は来年1月1日以降、華為の5G機器の新規調達を禁止される。政府は5月末、米国による華為への輸出規制強化を受け、方針変更を検討していた。
英政府は1月、華為を含む「高リスク業者」から機密データを扱う中核部分への機器調達を禁じる一方、それ以外の部分については35%のシェアを上限に許可することを決定。しかし、米政府は5月、華為への禁輸措置を強化し、米国外の拠点で作られた半導体でも米国の技術やソフトを利用していれば華為への輸出を禁止した。これを受け、同社はセキュリティー面で信頼性のある米企業の技術を使用した半導体を調達できなくなっている。
英政府通信本部(GCHQ)の下部組織である国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は先に政府に提出した報告書で、華為は今後、信頼性の低い技術への依存を余儀なくされるとの見方を示し、同社が英国の5G網の一部を担うことに懸念を示していた。
英国では今後も5G網の中核部分での華為製品の使用は引き続き禁止され、それ以外の部分でのシェアは35%以内とする。政府は近く、新たに電気通信安全保障法案を提出し、今回の決定を法制化する方針。
ダウデン・デジタル・文化・メディア・スポーツ相は「次回の総選挙までに、英国の5G網からの華為の完全排除に向け、後戻り不可能な道筋を法制化する」とコメント。ただ、華為を巡る1月と今回の決定により、英国の5G展開は2~3年遅れ、最大20億ポンドの追加コストが発生すると認めている。
与党・保守党内ではかねて、華為の5G網からの完全排除を求める声が強まっていた。同党のイアン・ダンカン・スミス元党首は今回の決定について、27年まででは遅すぎると批判。25年までの完全排除に加え、3Gおよび4Gからの排除も必要と訴えている。
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