不正会計疑惑に揺れる独決済サービス大手ワイヤーカード・グループは25日、破産手続きを申請したと発表した。債務超過に陥ることは避けられないと判断したためで、債権者は貸し付けた35億ユーロの回収が危ぶまれる事態となっている。
破産手続き申請の発表を受け、ワイヤーカードの株価は80%下落。同社は2018年9月、主要30社で構成するドイツ株価指数(DAX)構成銘柄に指定された。DAX構成銘柄である企業が経営破綻するのは初めて。
ワイヤーカードは先に、監査会社からフィリピン2行の信託口座にあるはずの現金19億ユーロの行方が確認できないとの報告を受け、19年の通期決算報告を延期。翌日にはマーカス・ブラウン前最高経営責任者(CEO)が辞任した。その後、フィリピンの中央銀行が、ワイヤーカードはそもそも同2行の顧客ではなく、同社が保有するとされる19億ユーロに関する書類は偽物で、この現金は同国の金融システムに一度も入ってきていないと説明していた。
ワイヤーカードの監査は10年以上にわたり、大手会計事務所アーンスト&ヤング(EY)が手掛けている。
ブラウン前CEOは辞任後に逮捕され、保釈金500万ユーロを支払い保釈された。現在、ミュンヘンの検察当局が虚偽の情報開示と市場操作の疑いで捜査を進めている。
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