英・オランダ資本の食品・家庭用品大手ユニリーバは11日、両国にそれぞれ本社を置く体制を廃止し、英国の持ち株会社に統合する方針を発表した。これにより、買収や事業分離などが柔軟にできるようになる。株主の承認を経て、今年後半の本社一本化を目指す。
この計画では、ロンドンとロッテルダムに本社を置く両法人を合併して英国の新会社に統合する。オランダ法人の株主は、持ち株1株と統合後の新会社の株式1株を交換し、新会社の持ち株比率はオランダ法人の株主が約55%となる。ロンドン、アムステルダム、ニューヨークの各証券取引所での上場に影響はない。また、英・オランダでの事業や拠点所在地にも変更はなく、人員の削減も行わないという。
ニルス・アンデルセン会長は現在の2本社体制では事業分離などが難しいと指摘。「体制の一本化により戦略的な柔軟性が増し、複雑性が取り除かれてガバナンスが向上する」と説明している。
同社は約1年半にわたり事業の戦略的見直しを進めており、一本化計画はその一環。紅茶事業の売却を検討しているほか、今回の統合により、フード・リフレッシュメント部門をスピンオフ(分離・独立)する可能性もあるとしている。
ユニリーバは1930年、オランダのマーガリン・ユニと英リーバ・ブラザーズが合併して誕生。以来、90年間にわたり両国に本社を置いてきた。18年にはオランダに持ち株会社を設立して本社を一本化する方針を打ち出したが、英国側の主要株主の反対により計画を撤回していた。[M&A]
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