独ルフトハンザ航空は3日、第1四半期(1~3月)の純損失が21億2,400万ユーロとなり、前年同期の3億4,200万ユーロから赤字が大幅に拡大したと発表した。新型コロナウイルス流行に伴う渡航制限を受け、需要が激減したことが響いた。同社は併せて、ドイツ政府から受ける救済支援の返済を目的に、事業再編を進める方針を示している。
売上高は18%減の64億4,100万ユーロ。うち旅客収入は45億3,900万ユーロと22%落ち込んだ。運航会社別に見ると、主力のルフトハンザ旅客部門とスイスインターナショナルがそれぞれ25%、17%減少。オーストリア航空は24%落ち込んだ。これら3社を合わせた「ネットワークエアラインズ」部門は22%の減収だった。格安航空ユーロウイングスやブリュッセル航空を含む「ユーロウイングスグループ」部門は、20%縮小している。
グループの乗客数は26%減の2,175万6,000人。乗客輸送実績は有償旅客キロ(RPK)換算で24%減った。搭乗率は73.3%と1年前を4.6ポイント下回っている。
EBIT(利払い・税引き前利益、特別損益除く)ベースの損失は12億2,000万ユーロと1年前の3億3,600万ユーロの赤字から拡大。これをベースとする利益率はマイナス18.9%と、1年前から14.6ポイント低下している。
ルフトハンザ航空は5月、ドイツ政府の経済安定基金と最大90億ユーロの安定化パッケージの支援を受けることで合意。同社はこれの早期返済に向け、1座席当たりコストを新型コロナ危機前に比べて大幅に引き下げる方針だ。また、ブリュッセル航空は旅客輸送容量を30%、従業員を25%それぞれ削減し、オーストリア航空は旅客輸送容量を20%、人件費を20%それぞれ減らす計画だ。さらに、コスト削減策は他のグループ会社でも実施する見通し。加えて、非中核事業の売却も計画している。同社の旅客輸送容量は5月時点で従来計画の3%にとどまっていたが、9月にはこれを最大40%まで引き上げる方針も示している。
同社は通年について、新型コロナ危機による不透明感は現在も続いており、見通しを立てるのは現時点で不可能と説明。特別損益を除くEBITは前年を大きく下回るとしている。
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