日産自動車は28日、スペインのバルセロナ工場を12月に閉鎖する方針を明らかにした。この日に発表した世界的な事業の構造改革の一環。間接雇用も含めて最大2万5,000人が失職する見通しとなり、同工場前ではこの日、従業員らがタイヤを燃やすなどして抗議した。一方、英イングランド北東部のサンダーランド工場は維持する方針を示している。
同社は、バルセロナのソナフランカ工場と近郊の関連施設2カ所を閉鎖する。スペイン中部アビラ(Avila)と北部カンタブリア(Cantabria)の拠点は維持する。
日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は「欧州は今後も当社にとって重要な地域」とした上で、「だからこそ、競争の激しい欧州市場での地位と収益性を高めるための措置を提案する」と説明。バルセロナ工場の閉鎖決定は「余剰生産能力の緩和と全体的な競争力向上に向け、広範な検討を行った結果だ」としている。
バルセロナ工場は1983年に開設。関連施設も合わせて約3,000人を直接雇用するほか、間接的に2万2,000人近くの雇用を支える。主要労組の労働者委員会(CCOO)は、「これは大きな間違いだ」と批判する声明を発表。スペインのブランコ産業・貿易・観光相は先に、同社がバルセロナ工場の閉鎖を決めた場合、労働・契約問題の解決に10億ユーロ超のコストがかかるとの見通しを示していた。
日産はこの日、事業構造の改革に向けた2023年までの4カ年計画を発表。全世界で生産能力を20%削減して年産540万台体制とし、工場稼働率を80%以上に引き上げる方針を示した。バルセロナ工場の閉鎖もこれに向けた措置。欧州では今後、アライアンスを組む仏同業ルノーの資産を活用する方針も示している。[日本企業の動向][労務]
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