英政府は28日、イングランドで新型コロナウイルス感染者との接触追跡プログラムを開始した。新型コロナウイルス感染症の症状がある全ての人に検査を行うとともに、感染者と濃厚接触した人を特定し、14日間の自主隔離を要請する。6月から予定される外出規制の段階的緩和に伴い、感染の第2波が生じるのを回避するための措置。
これまでは、長引く咳や熱、味覚や嗅覚の喪失といった新型コロナ感染症の症状がある人は、14日間の自主隔離を求められていたが、今後はこれに加えて119番に電話するかオンラインで検査を予約する必要がある。検査で陽性反応が出た人には、国民医療制度(NHS)の接触追跡チームが連絡を取り、濃厚接触した相手や訪れた場所を特定する。感染の恐れがある全ての人に連絡を取り、症状の有無にかかわらず14日間の自主隔離を要請する。
NHSイングランドはこれに向け、2万5,000人の接触追跡者を雇用。既に検査を受け陽性反応が出ている2,013人を対象に、この日に接触追跡を開始した。
検査の予約や自主隔離は、当初は国民の自主性に任せるが、ハンコック保健・社会福祉相は「必要があれば直ちに法律で義務付ける」としている。また、感染拡大が確認された地域では、局地的な封鎖措置を再導入する可能性も示唆している。ジョンソン首相の最側近である上級顧問のドミニク・カミングス氏の外出規制違反疑惑が尾を引く中、国民が自主隔離の要請や新たな封鎖措置にどこまで応じるかが注目される。自主隔離中の人は、1週間当たり95.85ポンドの法定傷病手当の対象となるものの、労組からはこれを実質生活賃金並みに引き上げるよう求める声も上がっている。
同様のプログラムは既に北アイルランドで実施されているほか、スコットランドとウエールズでも間もなく開始される予定。
なお政府は、接触追跡を自動的に行うスマートフォンのアプリをイングランド南部沖のワイト島で試験中だが、まだ実用化のめどは立っていない。6月半ばまでにイングランドでこのアプリの運用を開始することを目指している。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。