欧州中央銀行(ECB)は4月30日、ビデオ会議システムによる政策理事会で、市中銀行への長期資金供給策を拡充し、マイナス1%の超低金利で貸し付けることなどを決めた。政策金利は史上最低のマイナス0.5%に据え置き、量的緩和策についても年内に総額1兆ユーロ超の資産を購入する計画を維持するとともに、必要ならさらに拡大する準備があるとしている。
ECBは、5月から新たに全7回の「パンデミック緊急長期資金供給オペ(PELTRO)」を開始し、マイナス0.75%の金利で市中銀行に貸し付ける。また、6月から1年間にわたり、既存の貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の金利を、政策金利より0.5ポイント低いマイナス1%とする。
ECBはかねて量的緩和策として、毎月200億ユーロ規模の資産購入を実施していたが、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響を緩和するため、3月に追加で年内に1,200億ユーロを購入することを決定。その後、さらに7,500億ユーロの追加購入を決めていた。ECBは今回、7,500億ユーロの追加購入策ついて、「必要とされる額の調整を行い、必要とされる期間にわたり実施する準備が十分にある」と述べ、さらに拡大する可能性を示唆した。
ECBのラガルド総裁は、ユーロ圏経済は「平時としては前例のない」縮小に直面していると指摘。「ユーロ圏内の全市民を支援するため、裁量の範囲内で可能な限り手を尽くす」とした上で、各国政府が「野心的で調和のとれた財政政策を取ることが不可欠」とくぎを刺した。ECBはユーロ圏の域内総生産(GDP)が今年に5~12%縮小するとみている。
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