英政府は15日、イングランド北部とロンドンを結ぶ高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」の建設計画について、建設会社に着工を命じたと発表した。新型コロナウイルス対策のため封鎖措置が取られる中でのゴーサインとなり、建設作業員は互いに一定の距離を置くなど感染防止のルールに従う必要がある。
政府は「政府の最優先課題は感染拡大を阻止し、国民医療制度(NHS)と人命を守ることだが、地域間格差の縮小に向けた長期的な計画を遅らせるわけにはいかない」と説明している。
着工命令には、新型コロナウイルスによる先行き不透明感に包まれている建設業界に安心感を与える狙いもある。建設会社は、イングランド公衆衛生局(PHE)の指針に従い、作業員同士や市民への感染を防止する措置を取る。
政府は2月、同計画の継続を承認し、4月に第1期工事を開始する方針を示していた。HS2計画は、第1期工事でロンドン―バーミンガム間、さらに第2期工事でバーミンガムからマンチェスター、およびリーズ間の2路線を敷設する計画。開通すれば、ロンドンからバーミンガムまでの所要時間は1時間21分から45分に、マンチェスターまでの所要時間は2時間4分から1時間11分にそれぞれ短縮する見通しだ。
同計画の総工費は、当初は557億ポンドを予定していたが、約2倍の1,066億ポンド(2015年の物価ベース)に膨らむ見通しとなっている。また、当初の計画では第1期は2026年、第2期は33年の完工が見込まれていたが、第1期の完工は28~31年にずれ込むとみられ、第2期工事については変更も予定されており、今後のめどが立っていない。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。