スナク財務相は3日、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けた中規模企業向けの緊急融資制度を発表した。最大2,500万ポンドまでの融資を提供し、政府が大部分を保証する。同相はすでに小規模企業向けの事業中断ローンや、大企業向けのコマーシャルペーパー(CP)買い取り制度を打ち出しているが、中規模企業は取り残された格好となっており、対応が求められていた。
中規模企業向けの新制度の名称は「コロナウイルス大規模事業中断ローン制度(CLBILS)」。年間売上高4,500万~5億ポンドの企業を対象に、最大2,500万ポンドの融資が提供され、うち80%を政府が保証する。小規模企業向けと異なり無利子ではなく、通常の金利が課される。
小規模企業向けには既に、「コロナウイルス事業中断ローン制度(CBILS)」が開始されている。こちらは年間売上高4,500万ポンド以下の事業に最大1年まで無利子で融資を提供するもの。同相はこの日、既にこの制度を通じて約1,000社に総額9,000万ポンドの融資が実行されたと明らかにした。
ただ、CBILSは通常の商業ローンを拒否された企業が対象とされていたため、いったんこうしたローンを申請する必要があり、その際に高い利子を課されるケースも多く批判が上がっていた。このため、同相はこの日、こうした条件を撤廃すると明らかにした。また、銀行が借り手に個人保証を求めていることも問題となっていたが、同相はこの日、25万ポンド以下の融資について個人保証の要求を禁止し、25万ポンド以上の融資についても個人保証は政府保証のない20%までにとどめるよう求めた。
なお、大企業向けの支援策としては、最大1年間にわたり中銀のイングランド銀行がCPを買い取る「COVIDコーポレート・ファイナンシング・ファシリティー(CCFF)」が実施されている。スナク財務相によると、この日までに同制度を通じて総額19億ポンドが供給され、さらに16億ポンド分のCP買い取りが決まっている。
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