欧州中央銀行(ECB)は18日夜に緊急電話会議を開き、年内に追加で7,500億ユーロの資産を購入することを決めたと発表した。既に先の政策理事会で量的緩和策の拡大を決めていたが、新たな買い入れにより、新型コロナウイルスの感染拡大による欧州の経済や金融市場への影響悪化を食い止める狙い。
ECBはこれを「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」と名付け、感染の危機的段階が終わったと判断されるまで、少なくとも年内は継続する。追加購入の規模は、先の量的緩和策で決めていた1,200億ユーロと合わせると8,700億ユーロとなる。ECBは「権限の範囲内で、あらゆる可能な手段を活用することを決めた」と表明している。
購入する資産のうち社債については、非金融機関が発行するコマーシャルペーパー(CP)にも対象を広げるほか、担保の基準も緩めて市中銀行が資金を調達しやすくする。国債については、初めてギリシャ国債も対象に加えた。また、買い入れでこれまで自らに課していた制約について、「直面する危機に応じた行動に必要な範囲で見直しを行う」と明らかにした。これにより、国債の保有で発行国当たりの上限を発行額の3分の1とする制約や、各国のECBへの出資割合に応じた国債の購入を緩和する可能性がある。
ECBのラガルド総裁は先に、一般世帯や企業に対する封鎖が1カ月続けば、ユーロ圏の今年の域内総生産(GDP)成長率は当初予想の0.8%から2ポイント引き下げられ、封鎖が3カ月になれば引き下げ幅は5ポイントを超えるとの見通しを示していた。
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