新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化するイタリアの政府は10日、北部で実施していた封鎖措置を全土に拡大した。4月3日まで不要不急の移動に加え、スポーツ試合などのイベントや集会の開催が禁止される。国内感染者数が中国に次ぐ水準に達する中、感染の全国拡大を阻止する狙い。
フィナンシャル・タイムズによると、仕事や家庭の事情で延期できない理由がある場合には、所定の自己申告書に記入し、警察や軍に提示する必要がある。封鎖措置に違反した場合、3カ月以下の禁錮刑または206ユーロの罰金が科される。
政府は既に大学を含めた全ての教育機関を休校にしているが、この措置も4月3日まで継続される。
コンテ首相は「もはや安全区域はない」と強調。「われわれは今後、習慣を変え、イタリアのために何かを我慢する必要がある」と訴えた。
政府は8日、北部のロンバルディア州全域と周辺14県での封鎖措置を開始。経済都市ミラノや観光地ベネチアも含め、約1,700万人が住む地域で内外への移動が制限された。ただ、北部と南部を結ぶ鉄道は運行を続け、道路や空港の封鎖も行われなかったため、実施面で混乱が生じていた。移動制限を全土に拡大することにより、こうした混乱を取り除く狙いもある。
■感染者数が1万人超え
イタリア市民保護局によると、10日時点の国内の感染者数は1万149人となり、1万人の大台を超えた。死者数は631人に増えた。
地域別に見ると、ミラノを州都とする北部ロンバルディア州が5,791人と最も多く、州都ボローニャを中心とするエミリアロマーニャ州が1,533人、観光地ベネチアを抱えるベネト州が856人と続く。
イタリアの死者数は、2月24日時点で7人だったが、3月4日には100人を超えた。3月に入ってから増加ペースは加速しており、7日に233人、8日に366人、9日に463人と100人単位で増えている。
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