ドイツの鉄鋼・エンジニアリング大手ティッセンクルップは2月27日、エレベーター・テクノロジー部門の売却先を、プライベートエクイティー(PE)企業の米アドベント・インターナショナルと英シンベン(Cinven)のコンソーシアムに決定したと発表した。取引額は172億ユーロ。同社は財務基盤の立て直しに向け事業再編を進めており、売却益の一部はさらなるリストラや事業売却のコストに充てる。
取引は、当局の承認を得た上で9月末までの完了を見込む。ティッセンは、取引額のうち12億5,000万ユーロを投じてエレベーター・テクノロジー部門の少数株を買い戻す。残りは苦戦する他事業の再編や投資に充てる。具体的な使途は、5月に発表する事業再編計画に合わせて決定する予定。同社はこの計画の中で、売却またはリストラの対象となる事業を明らかにする。
エレベーター・テクノロジー部門は、ティッセンクルップにとって最も収益性の高い部門だった。ロイター通信によると、同社のマルティナ・メルツ最高経営責任者(CEO)は「同部門の売却は気が進まないが、これが最良の解決策だ」と話している。
ティッセンは9月にエレベーター・テクノロジー部門の売却手続きに着手。事業価値を120億~170億ユーロと評価していた。入札には10社以上が関心を示し、最終的にアドベントおよびシンベン、独化学大手エボニック・インダストリーズを所有するRAG財団のコンソーシアムと、米カーライル・グループとブラックストーン・グループなどが主導するチームの2組に候補が絞り込まれていた。有力候補とされていたフィンランドの昇降機大手コネ(KONE)・コーポレーションは最高額を提示したものの、ティッセンが当局による独占禁止法調査の可能性を懸念したため脱落していた。[M&A]
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