新型コロナウイルスの感染拡大を受け、欧州企業や欧州に拠点を持つ企業が事業活動の変更を余儀なくされている。独ルフトハンザ航空は26日、新規採用の凍結をはじめとするコスト削減策を発表。アルコール飲料で世界最大手の英ディアジオも、業績への影響見通しを公表した。
ルフトハンザ航空は、同社や傘下のスイス・インターナショナル、オーストリア航空で中国便の運航を3月28日まで一時停止する。香港発着便については運航機体の規模を変更し、フランクフルト、ミュンヘン、チューリヒ便は運航頻度を調整する予定だ。その結果、グループの計13機が使用されない状態になるという。業績への影響は現時点で不明だが、ダメージ軽減に向けたコスト削減策として他にも、従業員に対し無給の休暇取得を推奨したり、短時間労働の選択肢を拡大したりといった対応に出ている。
ディアジオは、新型肺炎による2020年6月期決算へのマイナスの影響に関する見通しを明らかにした。継続事業・恒常為替レートベースの売上高は2億2,500万~3億2,500万ポンド、実質ベースの営業利益は1億4,000万~2億ポンドそれぞれ下がると予想。ただ、これらは感染の中心部となっている中華圏やアジア・太平洋地域の状況を考慮して算出しており、他の市場での影響可能性は現時点で含めていないという。
仏高級ブランドSMCPは25日発表した営業報告で、新型肺炎の拡大が主要市場である中国での売上高と収益性に大きな影響を与えていると説明。また、中国人観光客の減少が他の市場での業績にも多少響いているとした。
AFP通信によると、食品で世界大手のネスレ(スイス)は新型肺炎の感染防止に向け、世界中の全社員の出張を3月15日まで禁止する方針。フィナンシャル・タイムズによると、米石油メジャーのシェブロンは、新型肺炎の流行国から戻った社員1人がインフルエンザに似た症状を訴えたことを受け、ロンドン事務所の従業員300人に自宅勤務を命じた。一方、ブルームバーグは高級ブランドのエルメス・インターナショナルについて、中国で一時休業していた11店舗のうち7店舗で営業を再開したと報道。ただ、アクセル・デュマ最高経営責任者(CEO)は市場の回復時期について予測するのは時期尚早とコメントしているという。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。