欧州委員会は19日、人工知能(AI)の規制と開発促進に向けた戦略をまとめた「AI白書」を公表した。中国や米国に対抗できるテクノロジー産業の育成を図ると同時に、AIの普及による市民のプライバシーなどの権利侵害を防止する狙い。
欧州委はAI開発の促進に向け、向こう10年にわたり民間資金を合わせて年間200億ユーロを投じる方針。EU資金は、「デジタル・ヨーロッパ・プログラム」や研究開発(R&D)支援プログラム「ホライズン」、欧州構造投資基金(ESIF)などから拠出する。
一方、規制面では、AI産業にも自動車や化学品、化粧品、玩具などと同様の基準と検査を導入することを提案している。特に顔認識技術については、プライバシーなどの権利が侵害される恐れがあるため、利用が正当化される状況を特定するとしている。
欧州委のフォンデアライエン委員長は、「企業や研究者、開発者、起業家にはAIの開発を促し、市民には安心してAIを利用してもらいたい」と話す。欧州委は5月19日まで「AI白書」に関する意見公募を行った上で、今後の措置を決定する。
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