仏重電大手アルストムは17日、カナダのエンジニアリング大手ボンバルディアの鉄道事業を買収することで覚書を締結したと発表した。取引額は負債を含めて74億5,000万ユーロとなる見通し。世界最大手の中国中車(CRRC)に対抗し、欧州市場の需要拡大に対応する狙い。
アルストムは、ボンバルディアの鉄道事業の全株式を、ボンバルディアとケベック州から買い取る。現金と自社株で支払い、取引完了後はケベック州がアルストムの株式約18%を保有する筆頭株主となる見通し。両社は当局からの承認獲得を経て、2021年6月までの完了を見込んでいる。
取引が成立すれば、アルストムの受注残高は750億ユーロ、売上高は1,550億ユーロに増加する。ロイター通信によると、欧州鉄道市場でのシェアは40~60%に拡大し、独総合電機大手シーメンスの10~20%を大きく引き離す見通し。
ボンバルディアは2017年、シーメンスと鉄道事業統合に向け協議したものの、シーメンスはその後、アルストムと鉄道事業を統合することで合意。この計画は昨年2月、欧州委員会によって却下された。今回の取引も、欧州委の調査対象となるが、欧州の高速鉄道および信号システム市場におけるアルストムとボンバルディアのシェアの合計は、アルストムとシーメンスの合計を下回るため、同委の反対は前回ほど強くないとの見方もある。[M&A]
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