英金融大手HSBCホールディングスは18日、向こう3年間の新戦略を発表した。リスク資産の縮小や不採算部門の統合など一連の事業再建策に伴い、約3万5,000人を削減する計画。
同行は、2022年末までにリスク資産を1,000億ドル超削減するほか、英国事業を除く欧州のトレーディング事業を縮小し、米国の支店数を約30%減らす方針。これにより45億ドルのコスト削減を目指す。人員整理は欧州と米国の投資銀行事業が対象になるとみられているが、詳細は明らかにしていない。一方、順調なアジア市場への投資は拡大する計画だ。
■通期は32.9%減益
HSBCは併せて、2019年12月期の税引き前利益が133億4,700万ドルとなり、前期比32.9%減少したと発表した。欧州の投資銀事業とトレーディング事業で73億ドルを減損処理したことが響いた。
地域別では、主力のアジアが184億6,800万ドルと3.8%増加。欧州は46億5,300万ドルの赤字で、1年前の8億1,500万ドルから6倍弱に拡大している。中東・北アフリカは49.5%増えた。一方、北米は4%の減益。中南米は28.4%縮小した。
全体の税引き前利益は特別損益を除くと222億1,200万ドルで、4.9%増加した。これを部門別に見ると、リテールバンキング&ウェルスマネジメント部門は14.7%拡大。グローバル・プライベートバンキング部門は18.6%伸びている。半面、投資銀行業務を含むグローバルバンキング&マーケット部門は9.2%、コマーシャルバンキング部門は2.3%それぞれ減少している。
グループの業務粗利益は4.3%増の560億9,800万ドル。普通株等ティア1レシオ(自己資本比率)は期末時点で14.7%と、1年前から0.7ポイント上昇している。
ノエル・クイン暫定最高経営責任者(CEO)は今年について、中国を中心とした新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大が、同国本土と香港の従業員とサプライヤー、顧客に深刻な混乱をもたらしていると指摘。今後はこれに伴い経済が減速し、業績に影響を与える可能性もあるとの見方を示した。[労務]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。